キミノタメノアイノウタ

「ねえ!!どこまで登るつもりなの?」

もうかれこれ30分もこの山道を登っている。

汗だくになって私の前を歩いている千吏が叫ぶ。

「頂上までに決まってるでしょ!!」

……頂上って、一体どれくらいの距離があるのか本当に知っているのか。

これだけ汗だくなってしまえば”ちょっと散歩”とはとても言えない。

「つべこべ言わずさっさと歩く!!」

「はーい…」

私はひたすら足を前に出すしかなかった。

拒否権はない。

……だって相手が千吏だから。

どのみち、もう後戻りはできない所まで登ってしまっている。

手すりから少しだけ身を乗り出すと眼下に私達の通っていた小学校が見える。

今日はプールの開放日なのか、子供たちが元気に泳いでいた。

夏休みもあと半分。

宿題は終わったのかなと、余計な心配をしてみる。

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