キミノタメノアイノウタ
この山はちょうど小学校の裏手に位置している。
好奇心旺盛な子供にはたまらない遊び場だ。
その反面、暗くなると行ってはいけない場所の筆頭によく挙げられたものだった。
……懐かしいな。
人ひとりが歩くのがやっとの細い山道に、丸太で作った階段。風の吹く音。雑木林の緑色。
……そのすべてが懐かしく感じる。
「瑠菜ー!!行くよー!!」
「待ってよー!!
気づくと千吏が随分先に進んでいた。
私は遅れを取り戻すように山道を駆け上がっていった。
「それにしても、珍しいね?千吏が山に行きたがるなんてさ」
散歩っていうからてっきり私はその辺をぶらぶらするだけかと思っていたのだ。