キミノタメノアイノウタ
「奏芽のこと、許してあげなよ。あいつバカだからちゃんと言ってあげないと、いつまでもウジウジ悩んじゃうよ?」
「わかってる」
奏芽はきっと他の誰よりも私に背中を押してもらいたいんだ。
(バカだなあ…)
奏芽の人生は奏芽のものなんだから私の許可なんて必要ない。
……好きにすればいいのに、律儀なんだから。
「私達はさ、どこに行っても…バラバラになってもきっと大丈夫だよ」
千吏が急に立ち上がって、空に手をかざした。
太陽の光を一身に浴びる。
「ここを離れたって一緒にいた歴史は消えないよ」
私には千吏の姿が、その存在が、眩しく思えた。
……いつも真っ直ぐ前を向いていて羨ましかった。
今日は一段と輝いている。千吏の瞳が私を射抜く。
「本当はW大に行きたいんでしょ?」
……私は答えることが出来なかった。