キミノタメノアイノウタ

「瑠菜は…灯吾さんのことをどう思っているんだ…?」

(え…?)

質問の意味を頭の中で反芻する。

どう思っているかと聞かれて、直ぐに答えられるはずがない。

「いっ!!いきなりなに!?」

私はまぬけ面になってその場から後ずさった。思いもがけぬ質問にうろたえる。

千吏はともかく、奏芽からこの類のことを聞かれるなんて思わなかったのだ。

「いいから答えて」

答えを促されて、ドギマギしながら考える。

「どう思っているかって言われても…」

……そんなのわからない。

どう言って良いのかかわからない。

言葉で表すことがとても難しい。

昨日のことを思い出して、かあっと顔が火照る。

初めて男の人に対してあんな感情を抱いた。

なんだか恥ずかしくてたまらない。

奏芽はそんな私を見ると、ぎりっと奥歯を噛んだ。

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