キミノタメノアイノウタ

「俺、前からあの人たちのファンだったし。似てるなって思って。名前も同姓同名だから」

奏芽の携帯電話の着信音は確かに"ハルのうた"だった。

そのことをようやく思い出した。

世間知らずなのはやっぱり私だけなのかと落ち込む。

この分だと、千吏も気が付いているのかもしれない。

そんな私の感情などおかまいなしに奏芽は続けた。

「見ろよ」

奏芽が差し出されたのは芸能人のゴシップばかりが書かれた週刊誌だった。

言われるがままに表紙を見ると、見出しに絶句して口を掌で押さえる。


“人気絶頂azureの秘密!!元メンバー謎の失踪!!”



(なに…これ…)

私は震える手でページを開いた。

< 313 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop