キミノタメノアイノウタ
私はひたすら週刊誌の記事を目で追った。
この記事が本当ならば、兄貴と灯吾はこのAさんを裏切ったということになる。
(信じられない)
……信じたくもない。
「俺も最初は信じられなかったんだけどさ、あの人が今ここにいるってことはこれって……」
「やめて!!」
私は声を荒らげて、奏芽が言わんとしていることを遮った。
「いい加減なこと、言わないで!!」
……灯吾が。
灯吾がどんな想いで。
どんなに歌いたがっていたか。
……私は知っている。
灯吾の歌に対する想いは純粋で、透明で、穢れなんて一点もない。
だから多くの人を魅了することが出来る。
周りがなんと言おうと私は灯吾の歌を信じてる。
だから、この想いを汚すようなことを奏芽に言って欲しくなかった。