キミノタメノアイノウタ

奏芽は寂しそうに。本当に寂しそうに尋ねた。

「あの人が好きなのか?」

「やめてっ!!」

好きという言葉でひと括りにしないで欲しかった。

……認めたくない。

……不毛だってわかっているから。

認めたところで実るはずないってわかっているから。

奏芽が焦れて私の元までやってきて肩を揺らす。

「瑠菜っ…!!答えろよ!!」

私は答えられなかった。ただ、言えないと首を振っていた。

「俺の前では泣かないくせに、あの人の前では泣くんだな」

……奏芽は昨日、私が灯吾に慰めてもらったことを知っている。

そのことに気がついて、胸が軋んだ。

奏芽はどこで私達を見ていたのだろう。

……花火はやっぱり見られなかったのだ。

やがて、肩を揺らしていた奏芽の動きがとまった。

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