キミノタメノアイノウタ
耳元で囁かれた言葉の意味を知って目を見開く。
「ずっと、好きだった!!」
奏芽はそう言って、私の小さな身体をぎゅっと抱き締めた。
……力強い男の人の力だった。
生まれた時から一緒だったのに、私達の間には知らないことがまだあったのだ。
(やめて……)
私は奏芽を受け入れることは出来ない。男の人としての奏芽なんて知らない。
「放して」
「嫌だ」
拒絶すれば更にきつく抱き締められてしまう。
かつてないほど奏芽のぬくもりを近くに感じて怖くなる。
私はもがいた。
もがいて、もがいて何度も奏芽の胸を叩いた。
「放して!!」
私が欲しいのは好きという言葉ではない。
男としての奏芽じゃない。
……涙が滲んできた。
奏芽は私を決して放してくれなかった。
(やめて…)
……私はまた奏芽を傷つける言葉を吐いてしまう。