キミノタメノアイノウタ
17
「兄貴!!起きて!!」
私は必死になって兄貴の身体を揺り動かした。
布団の中で丸くなって寝ていた兄貴が不機嫌そうな低い声で唸る。
「…っんだよ。うっせーな…」
顔だけ出して私を睨む。
寝起きの兄貴は人相が違う。目だけで動物を射殺せそうな迫力だ。
ただ、この人と18年も兄妹やっている私がそんなもので怯むはずがない。
「灯吾が…っ…いなくなっちゃったの!!」
それ以上は言葉が詰まって出てこなかった。
兄貴がバサリと己の身体から布団を剥ぎ取った。
「…本当か?」
「週刊誌見て…ハルって人に…ごめんって言って……。追いかけたけど…もういなくて…!!」
(どうしよう…!!)
あんなに真っ青な顔をして。また倒れたりでもしたら。
「その週刊誌見せろ」