キミノタメノアイノウタ
どこに行っちゃったのよ…!!
私は道路を走りながら必死になって灯吾を探した。
灯吾が行きそうなところは限られているはずだ。
けれど、くまなく探してみても灯吾はいなかった。
(どうしよう…)
あの時、もっと早く追いかけていたらこんなことにはならなかったのに。
灯吾に何かあったら私のせいだ。
前に倒れたときのことを思い出す。
あんなことがまた起こったら。
そう思うと居ても立っても居られなかった。
私はまたフラフラと当てもなく闇雲に走り回った。
そうしているうちに道の反対側から兄貴が走ってくるのが見えた。
「見つかったか?」
「ううん…」
兄貴の方も収穫はないようだ。
「どこに行っちゃったんだろう…」
灯吾みたいに土地勘のない人間がそこまで遠くに行くとは思えない。
きっと私達が見落としているのだ。