キミノタメノアイノウタ

(ねえ、どこにいるの?)

あの記事、もしかして灯吾が歌えなくなったことと何か関係があるの?

聞きたいことは山ほどあった。

私には何か出来ることはあるのだろうか。

灯吾のために何かしたいって思っても、私はこんなにも無力だった。

ザザーン…ザザーン…と波が打ち寄せてくる。


"学校ってどこにあるんだ?"

"あそこ、白いやつ"


私は弾かれたようにバッと後ろを振り返った。

……私達が通っている高校がこの町を見下ろすように建っている。

……最後の心当たりが見つかった。

私は高校まで全速力で走っていった。

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