キミノタメノアイノウタ

踵を返そうとしていた、その時だった。

……屋上でチラリと光が反射したのが目に入った。

(何だろう……)

私はすぐさま立ち上がって目を凝らした。太陽が眩しくて良く見えない。

(もしかして、屋上に誰かいるの?)

私はすぐさま学校の塀を辿って、グラウンドの方に回った。

校門が閉まっていても抜け道なら沢山ある。

私は生徒が買出し用に使っているであろう、フェンスの抜け穴を発見した。

ところどころ針金がむき出しになっており、雑草が生い茂っている。

こんなことがなければ絶対通らないような所だ。

でも、私はどんな悪路でも行かなければならない。

……そこに灯吾がいるならば。

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