キミノタメノアイノウタ

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「俺は絶対こっち!!」

「はあ?!なに言ってんだよ!!」

季節は流れに流れ、ハルと初めて出会ってから二度目の冬がやってきた。

俺は無事この春中学校を卒業し、高校一年生になった。

とは言うものの、あまり学校には通ってない。

入学して半年以上経つというのにまともに授業を受けた記憶がない。

教師ももう匙を投げている状態だった。

特に母親の嘆きはひどく、家に帰ると泣きつかれる始末だ。

それが億劫で、俺はハル達3人が共同生活しているアパートに転がり込んでいた。

今は、今度ライブでやる曲を決めているところだ。

楽譜をテーブルの上に置いて2人で睨みあう。

ハルが性懲りもなく見当違いの歌を歌いたがるから曲決めは揉めることが多かった。

今日もそんなこんなで揉めていた。

「あのなあ…もうちょっと季節感出せよな!!」

(今、何月だと思っているんだ…?)

「いいじゃん!!歌いたいんだから!!」

ハルが広げているのは今年の春に作った桜をモチーフにしたラブソングだった。

(そんな歌がこの真冬に歌えるか)

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