キミノタメノアイノウタ
「僕は…こっちだな」
「えーっ!!」
「やったっ!!」
ユキなら絶対、自分に賛成してくれると思っていたのだろう。
ハルが不満の声をあげる。
ユキが選んだのは俺が支持していた歌だった。
小さくガッツポーズする。
(これ歌いたかったんだよな)
ひとりで路上に出て歌うのとライブ会場で歌うのでは全然音が違う。
俺は練習も兼ねてよく路上で歌っていた。
この頃は自分でも作詞作曲に手を出すようにはなっていたが、いつも侑隆からダメ出しを食らっていた。
従って、路上ではハルが作った歌をいつも歌っていたのだ。
俺が選んだのはハルが作った歌の中でも特に気に入っていた曲だった。