キミノタメノアイノウタ

ユキが何でも許容してくれるから俺達は自由に振舞えるんだ。

そういうところにハルは惹かれているのだろう。

ハルの中心はいつだってユキだった。

口に出して言わないけど、2人はそういう仲なんだとわかる。

仲間になって初めて目の当たりにした事実。

俺の心の中はすぐに子供じみた感情でいっぱいになった。

…ハルをとられたみたいで気に食わない。

本当に嫌な奴なら思いきり憎めるのに。

そうしないのはやっぱり相手がユキだからだ。

ユキはまだほんの高校生にすぎない俺を一人前の男として扱ってくれる。

ガキ扱いもしない。

その代り子供だからと言って守ったりもしない。

…それが余計に面白くない。

俺にはない懐の深さを思い知らされるからだ。

悔しいが完全に俺の負けだった。

不本意だけど、ユキみたいな男ならいいかなと最近思っている。

…悔しいから言わないけど。

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