キミノタメノアイノウタ
「ユキ…待って…」
ハルがフラフラとした足取りでユキの元へとやってくる。
俺はこれまでこんなハルを見たことがなかった。
いつだってハルは強くて、豪快で、弱音なんて決して吐かなかった。
それなのに今、ボロボロになってユキに縋りついていた。
「行かないで…!!」
……こちらが目を背けてしまいたくなるような悲痛な叫びだった。
「ごめん…ハル…」
ユキがハルの顔を撫でる。けれど、その手は直ぐに離れた。
「ユキっ―――!!」
ハルの呼び声は届かなかった。
無情にも扉が閉まった瞬間、俺達の道は別れてしまったのだ。