キミノタメノアイノウタ
「ユキっ!!」
ハルは泣いていた。声を押し殺して泣いていた。
俺の耳にハルの嗚咽が届く。
……本当にこれでいいのだろうか。
俺達がしてきたことがこんな形で終わっていいのだろうか。
「許してやれよ」
いつの間にか侑隆が隣に立っていて、俺の肩をポンと叩く。
侑隆は泣き崩れているハルを抱き起こした。
表情の消えたハルは抵抗せず、なすがまま部屋へと運ばれていく。
その姿を見た途端に、答えが出た。
……こんな簡単に終わっていいはずがない。
ドアノブに手を掛ける。ギイッっと扉が開いた。
いつから降っていたのだろう。
外には白いものがヒラヒラと舞い降りていた。
……俺は真冬の空に向かって飛び出した。