キミノタメノアイノウタ

「ユキっ!!」

ハルは泣いていた。声を押し殺して泣いていた。

俺の耳にハルの嗚咽が届く。

……本当にこれでいいのだろうか。

俺達がしてきたことがこんな形で終わっていいのだろうか。

「許してやれよ」

いつの間にか侑隆が隣に立っていて、俺の肩をポンと叩く。

侑隆は泣き崩れているハルを抱き起こした。

表情の消えたハルは抵抗せず、なすがまま部屋へと運ばれていく。

その姿を見た途端に、答えが出た。

……こんな簡単に終わっていいはずがない。

ドアノブに手を掛ける。ギイッっと扉が開いた。

いつから降っていたのだろう。

外には白いものがヒラヒラと舞い降りていた。

……俺は真冬の空に向かって飛び出した。

< 349 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop