キミノタメノアイノウタ
凍てつくような寒さは俺の息を白く染めた。
(さむっ…)
上着を着てこなかったせいでひどく凍えていた。
身を守るように震える身体を抱きしめる。
鈍色の空が俺をあざ笑うかのようにどんどん雪を降らせていった。
そのお陰でユキが通った足跡が残っていた。
それを辿っていくと遠くにその背中が見えた。
「ユキっ!!待てよ!!」
ユキが足を止めて、こちらを振り返った。
「灯吾…」
ユキが驚いた顔で俺を見ていた。
俺が追いかけてくるなんて思ってなかったのかもしれない。
俺はありったけの力をこめて叫んだ。