キミノタメノアイノウタ

「本当にいいのかよ!!そんなに簡単に全部捨てていいのかよ!!」

ユキの目が大きく見開かれる。

……ハルも音楽も。

……そんな簡単に捨てられる存在だったのか。

俺の問いかけにユキは答えようとしなかった。

ただ、静かに告げる。

「ハルを頼む」

穏やかな表情だった。

心の底からハルの幸せを考えているように思えた。

「ハルは僕がいなくなっても歌い続けなきゃいけないから」

……違う。

ハルが望んでいるのは俺じゃない。

…ユキだ。

「待てよ…っ…!!」

……俺じゃダメなんだ。

ハルにはユキじゃなきゃダメなんだ。

悔しいけど俺じゃ全然ダメなんだ。

< 351 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop