キミノタメノアイノウタ
「本当にいいのかよ!!そんなに簡単に全部捨てていいのかよ!!」
ユキの目が大きく見開かれる。
……ハルも音楽も。
……そんな簡単に捨てられる存在だったのか。
俺の問いかけにユキは答えようとしなかった。
ただ、静かに告げる。
「ハルを頼む」
穏やかな表情だった。
心の底からハルの幸せを考えているように思えた。
「ハルは僕がいなくなっても歌い続けなきゃいけないから」
……違う。
ハルが望んでいるのは俺じゃない。
…ユキだ。
「待てよ…っ…!!」
……俺じゃダメなんだ。
ハルにはユキじゃなきゃダメなんだ。
悔しいけど俺じゃ全然ダメなんだ。