キミノタメノアイノウタ
……それからハルがおかしくなった。
ハルの部屋の扉をノックする。今日も返事がない。
「ハル、ご飯だよ」
俺は扉を開けて中の様子を窺った。ハルは電気もつけずに床に座っていた。
「いらない…」
暗い室内に響くのは生気のないハルの声だった。
「わかった…。テーブルに置いとくから気が向いたら食べような?」
そう声を掛けて扉を閉める。
ハルは部屋の隅に縮こまって膝を抱えていることが多くなった。
そうやって自分を守って、なにもかもを拒絶していた。
……俺や侑隆さえも。
たまに部屋から出てきても心ここにあらずといった様子だった。