キミノタメノアイノウタ
「ごめん…ハルっ…」
ユキの名前を呼び続けるハルを抱きしめる。
ハルの身体はきつく抱きしめたら壊れてしまいそうなほど細かった。
「もういいっ…もういいよ…」
この人はなんて脆いんだろう。
俺が憧れていた人はひとひとりがいなくなっただけで、自分を保てないほどか弱い人だった。
「ハル…歌おう?」
俺はハルの眼を見て提案した。
このままじゃいけない。
……ユキはもういない。いないんだ。
「今度のライブ…3人でやろう?」
ハルは人目も憚らず大声で泣いた。
一生分の涙を消費したんじゃないかって程泣いた。
俺はただただハルを抱きしめることしかできなかった。