キミノタメノアイノウタ

それからハルの症状には徐々に回復の兆しが見られるようになった。

食事も徐々にとれるようになって顔色が良くなった。

「すっかり良くなったな」

「うん」

ハルが微笑むと俺も穏やかな気持ちになれた。

ライブの日付は刻一刻と迫っていた。

このまま症状がよくなればまた一緒に歌えると俺はのんきに考えていた。

しかし、ハルとの出会いが突然だったように別れも突然やってきた。

「ただいま」

そう言って、急いで靴を脱いで玄関にあがる。

今日はスーパーで珍しいものを発見したのだ。

……期間限定のかぼちゃプリンだ。

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