キミノタメノアイノウタ

ハルはプリンが大好物で、勝手に食べると本気で殴るほどだった。

早く見せてやりたくて食材を冷蔵庫にしまう前に部屋に寄る。

「ハル!!プリン買ってきたぞ」

意気揚々と扉を開ける。

「ハル…?」

部屋の中は気味が悪いくらいシーンと静まり返っていた。

……いつもと様子が違う。

ハルの部屋は恐ろしいくらいに綺麗に掃除されていた。

急に不安に襲われて家中探し回る。

「ハル?」

……ハルはどこにもいなかった。

リビングにも、トイレにも、風呂場にも、侑隆の部屋にも、ユキの部屋だった4畳半の部屋にも。

ハルの姿の代わりに見つけたのはテーブルに置かれた短い手紙だった。

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