キミノタメノアイノウタ
「灯吾…?」
パチンと電灯のスイッチが押されると、周りが明るくなった。
「お前なにしてんだ?」
侑隆が落ちていた紙を拾う。紙にはビッシリと音符が描かれていた。
「これ…」
侑隆が驚愕の表情で俺を見た。
「侑隆…」
何時間もぶっ通しで鉛筆を走らせていた俺は憔悴しきっていた。
侑隆に寄りかかってそのまま瞼を下ろす。
眠りつく前に告げる。
「うた…できた…」
「おい!!」
侑隆が呼びかける声も聞こえなかった。
脳裏に浮かぶのはハルとの想い出ばかりだった。