キミノタメノアイノウタ

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「その時作ったのが“ハルのうた”だった」

灯吾の想いが詰まった歌は多くの人に影響を与えた。

誰もが灯吾の歌を求め、賞賛し、涙を流していった。

……私もそのひとりだ。

「俺は…ハルはきっとどこかで俺の歌を聞いていてくれるんじゃないかって思ってた」

灯吾にとっての唯一の希望、再会を夢見る心を壊したのは。

「…あの記事を見るまでは」

……あの記事だったのだ。

灯吾は道に迷った子供のように心細そうに言った。

「瑠菜、教えてくれよ。俺はこれから誰のために歌ったら良いんだ…?」

灯吾は切実に答えを求めていた。

歌唄いが歌うことに迷いを感じることがどれだけのプレッシャーになるだろう。

「どうしたらいい……?」

灯吾は答えを求めるように私に縋りついた。

「ハルを救えなかった……」

灯吾は私の肩に頭を置いて泣き始める。

嘆く灯吾を私は精一杯抱きしめた。

……あの日、灯吾がハルさんを抱きしめたように。

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