キミノタメノアイノウタ
「ねえ、灯吾…歌って…?」
瑠菜は泣きながら微笑んだ。
「灯吾は誰も救えなかったわけじゃない」
また、ポロポロと涙が零れる。
……どうして言ってくれるんだろう。
「あの時…私のことを…助けてくれた…」
……どうして瑠菜は俺の欲しい言葉を言ってくれるんだろう。
「灯吾が歌ってくれれば私、どこにだって行けそうな気がするの」
あの時もそうだった。
“歌って”なんて他の誰も言ってくれなかったのに。
「どこにいても…灯吾の歌が私を守ってくれるから」
瑠菜の言葉だけが俺の心の隙間を埋めてくれる。
瑠菜の言葉は真実の言葉。
何の穢れもない真実の言葉だから。