キミノタメノアイノウタ

「灯吾…歌って…?」

そう言って、瑠菜はもう一度歌をせがんだ。

俺はこの期に及んで躊躇った。

「でも…俺…」

声が出ないかもしれない。

また倒れてしまうかもしれない。

そうなったら今度こそ立ち上がれなくなりそうだった。

「大丈夫」

瑠菜がきっぱりと言い切る。

「私が一緒に歌ってあげる」

……そのセリフはなによりも心強かった。

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