キミノタメノアイノウタ
ふいにプップーと車のクラクションが鳴った。
「瑠菜!!灯吾!!」
手すりから下を覗き込むと、車から降りたタツさんがこちらに向かって大きく手を振っていた。
助手席から同じように侑隆が現れる。
2人とも俺達が歌っていたのを聞いていたのだろうか。
侑隆と目が合う。
声に出さずにバーカと言われた。
こんな時まで憎まれ口を叩くなんて侑隆らしい。
……声が出なくなって一番心配していたくせに。
「帰ろう」
瑠菜に告げる。
「怒られる覚悟はできたから」
……帰ろう。
過去を振り返るのはもう十分だ。
俺は今を生きているのだから。
……予想通り、俺は階下に着くと侑隆にこっぴどくしかられる羽目になった。