キミノタメノアイノウタ
「灯吾!!」
声のする方を向くと瑠菜がこちらに走ってくるのが見えた。
「出かけるなら声かけてよ!!またどっかに行っちゃったのかと思ったでしょう!!」
瑠菜の小言に耳を傾けることも出来ない。
「る…な…」
足元を指差す。
「つ…め…たい…」
……俺はあまりの冷たさに動けなくなっていた。
「バーカ」
瑠菜が躊躇いもなく海に足を踏みいれて、呆れながら俺の身体を砂浜へと引っ張った。
「昼間ならともかく夜だと結構冷えるんだよ。この辺りは」
海水の温度も低下するに決まってるでしょうと付け足される。
「ごめんなさい…」