キミノタメノアイノウタ

「風邪引かないうちに戻ろうよ」

俺は素直に同意して砂浜に転がってる靴を取りに行った。

濡れている足が砂浜の上に足跡を作っていった。

「もうすぐ夏も終わりだな」

「そうだね」

ミーンミーンと勢いよく鳴いていた蝉たちの声が日を追うごとに減っていく。

あれほど隆盛を極めていた緑たちが少しづつ色を変えていく。

……夏が終わって行く。

移り変わっていく季節を実感できるところもこの町の特長と言える。

「本当にこの町っていい所だよな…」

「何言ってんのよっ!!」

瑠菜が照れながら俺の背中を叩く。

本当は時間の許す限り、ここにいたかった。

そっと瑠菜の横顔を盗み見る。

……サヨナラは言わないことにする。

きっと俺が歌っている限り、瑠菜とは繋がっていられるはずだから。

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