キミノタメノアイノウタ
「進路を…変更しようと思って」
「そうか…決めたか」
「はい」
私は改めて書き直した進路志望調査届を浅倉に渡した。
第一志望はW大学。
浅倉はそれをみると満足げに頷いて、机の引き出しの中にしまった。
「これから大変だな。親父さん、怒り狂うんじゃないか?」
「覚悟はしてます」
これから大変だろうなっていうのは自分でも分かっている。
父さんの怒りは計り知れない。
……でも。
「……ちゃんと味方もいますから」
私には沢山の味方がいる。
恵じぃも千吏もきっと協力してくれる。
私の中にこんなに勇気が眠っていたなんて思わなかった。
気が付くことができたのは、灯吾のおかげだ。
浅倉がハアッとため息をつく。
「俺が何回勧めても首を縦に振らなかったのに、今更何の心境の変化だ?」
浅倉が心底不思議そうに尋ねるので、私はほのかに微笑んで答えた。