キミノタメノアイノウタ

「良い顔つきになったな」

「そうですか?」

キョトンとして己の顔を指差す。私にはこの間までと同じように見える。

「ああ」

浅倉が目を細めて笑う。

自覚はないが良い顔つきになったらしい。

「まあ…何か困ったことがあったら言いなさい。出来る限り協力するから」

「ありがと、浅倉」

私はふふっと笑って職員室から走り出した。

「こら!!浅倉先生だろ!!」

浅倉が訂正しろー!!っと大声で叫んでいた。

廊下を駆け抜ける。

未来は夢と希望に溢れている。もう一度追いかけたい。

今の私に憂いなんてなかった。

ただひとつ…奏芽のことを除けば。

……奏芽は今でも私のことを大事な幼馴染だと思ってくれているのだろうか。

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