キミノタメノアイノウタ

「でも、瑠菜と過ごした日々が大切だから…」

所々錆びている自転車がキシキシと音を立てている。

「友達って呼べるようになるまで時間はかかるかもしれないけど…」

小石に乗り上げて、ガタンと自転車が揺れる。

「傍にいたいんだ!!」

私はうんうんと頷くことしかできなかった。

……伝わっていた。

奏芽にも私の想いが伝わっていた。

「うん…っ…」

奏芽の腰に回した腕に力をこめる。

涙が零れては後ろに流れていく。

キラキラと光っていた。

奏芽。

私はきっと忘れないよ。

奏芽の想い…絶対に忘れない。

その背中に頭を押し付ける。

……私も奏芽とずっと友達でいたい。

そう思った時、車体が大きく横に傾いた。

< 389 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop