キミノタメノアイノウタ

走って走って限界がやってきたところで家が見えた。

……家に着いた時、私が見たのはタツの車に乗り込もうとしている灯吾だった。

「待って!!」

私が現れたことに驚いていたのは灯吾だけではなかった。

兄貴も運転手のタツも驚愕の表情で私を見ていた。

灯吾が荷物を置いて、私の元までやってくる。

「なんで…黙って行くのよ…っ…」

……一言も言わずに黙って出て行くなんてひどすぎる。

「ごめん…。言い出せなかった…」

私は擦り傷だらけの腕で、顔の涙を拭った。

……言わなければいけない。

「私…灯吾に言いたいことがあるの…」

私の気持ち。

……灯吾に伝えたい。

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