キミノタメノアイノウタ
「そうだな。千吏も見習えば?」
「うるさいわ!!」
千吏が暴言を吐いた奏芽に向かって、ゲシゲシと蹴りをいれる。
「まあまあ。そのくらいにしといたら?」
「そうね。そろそろ帰ろうか」
そう言って教室から出て行く2人を私は引き止めた。
「ごめん。私、自転車で来ちゃった」
「珍しいな?」
奏芽も首を傾げていた。
私が学校に自転車で来るなんて滅多にないことだからだ。
私は口の端を上げて、にっと笑った。
「たまには男のロマンってやつを感じようと思って」