キミノタメノアイノウタ
「ハルが生きているってことが分かった時、俺の頭には瑠菜のことが思い浮かんだんだ」
灯吾は私が落とした包みを拾った。
CDケースについた土を払って、私の手に握らせる。
「この歌な…瑠菜と別れた後、車の中で出来たんだ。CDが出来たら一番に瑠菜に聞かせようって思ってたんだ」
CDのジャケットに描かれているのは屋上で見た空と海だった。
「タイトルは…」
灯吾が微笑む。
「“キミノタメノアイノウタ”」