キミノタメノアイノウタ

「どうした?寝不足か?」

そう尋ねられてドキリと心臓が小さく音をたてた。

兄貴は私の寝不足で赤くなった目を覗き込むと、味噌汁のお椀を渡してお代わりを要求した。

「別に……なんでもない」

鍋の中の味噌汁をよそって兄貴に渡すと、エプロンを外して椅子の背もたれにかける。

兄貴はお椀を受け取ると、行儀悪く箸をくわえながら私をじっと見つめてくる。

誰も知らないはずの昨日の出来事が頭の中に蘇ってくる。

兄貴の視線が何もかもを見透かしているような気がして、急に居心地が悪くなる。

私は逃げるように口早でまくし立てた。

「食べ終わったら洗っておいて!!灯吾が起きてきたら、温めなおして食べるように言っておいてよ!!じゃあ、学校に行ってくるから!!」

私は通学用の青いナイロンバッグを肩にかけると、慌てて家から駆け出した。

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