キミノタメノアイノウタ

「あーもう、超笑えるー!!」

腹を抱えて笑っている千吏(ちさと)をジロリと睨む。

「笑えない!!断じて笑えない!!」

私は持参したおにぎりにやつ当たりするようにかぶりついた。

朝、あんなに苦労したというのに、奏芽のやつは夏期講習の最中に思い切り寝始めたのだ。

ぐーぐーと寝息を立てていた奏芽の頭を、教科書で力一杯はたいたのは言うまでもない。

「あんたらってホント漫才みたいだよねー」

「好きであいつと漫才組んでるわけじゃない!!」

そういうところが漫才みたいよねと、更に千吏が茶化しだす。

私は益々機嫌が悪くなって、昼休憩になったことにも気がつかず寝こけている奏芽の頭を再度はたいた。

「いってーーーーっ!!」

飛び上がって頭をおさえる奏芽に向かって、半ばやけになって叫ぶ。

「いつまで寝てんのよ!!」

先生がなんとかしてくれって縋るように、私を見ていたことをまた思い出した。

……体のいい世話係。

こちらはいい迷惑だと、鼻息を荒くする。

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