キミノタメノアイノウタ

「うわっ!!マジそっくり!!」

俺は口をあんぐりと開けて、タツさんと奏芽くんの顔を見比べた。

「あんまりジロジロ見るなよ。奏芽がご機嫌斜めになっちゃうぜ」

タツさんはそう言ったけれど、自分だって不機嫌そうにそっぽを向いた奏芽くんの頭をガシガシと撫でまわしていた。

「やめろよ」

ペットのような扱いに耐えかねたのか、奏芽くんが煩わしそうに手を振り払う。

それと同時に、俺にきつい眼差しをくれる。

騒いで悪かったなと、思うけれども観察をやめる気はない。

それほど奏芽くんとの出会いは衝撃的だったのだ。

瑠菜と一緒に家に戻ると見慣れないスニーカーが玄関においてあって、タツさんかなと予想し、何とはなしに居間に行くと、制服を着た少年に出くわしたのだ。

「あんた誰?」

眉間にシワを寄せ訝しげに俺を眺める少年は、まるで色の白くなったタツさんそのもので。

「誰って…」

こっちも説明を求めたいくらいだった。

……どうやって若返ったのだろうか。

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