キミノタメノアイノウタ
「おかわり!!」
「よく食べるね、奏芽」
瑠菜は元気良く差し出された茶碗に、ご飯を目一杯盛って返してやった。
「そりゃあ、二人分自転車漕いだからな」
(奏芽くんだったのか……)
堤防に腰掛けていた俺に駆け寄ってきた瑠菜の遠く後ろで、自転車に跨りながら様子を窺っていたのは。
「おかわり!!」
「……もう、自分でよそってよ!!」
瑠菜と奏芽くんのやりとりは軽快で、よほど気心が知れているのか、見ているこちらも微笑ましい気持ちになる。
……それにしても、食べ過ぎだとは思うが。
奏芽くんの前に並べられたおかずは次々とその姿を消していって、今は跡形もない。
「バカの大食い……」
タツさんがボソリと呟けば、おかわりを受け取った奏芽くんがすぐさま反発する。
「バカって言うな!!」
「じゃあアホだな」
(仲良いな……)
まるで兄弟のような言い合いに、俺は密かに笑いを噛み殺していた。
……食事の席がこんなに楽しいなんて久し振りのことだった。