キミノタメノアイノウタ
「……だめだ。忘れた」
「結局、覚えてないのかよ」
侑隆はタツさんを無視すると、鍋の中身を見て嬉しそうに声を上げた。
「おっ!!今日は和食か」
食器におかずを盛って、同じ食卓につくと間髪いれず奏芽くんが尋ねた。
「ホントに覚えてないんですか?」
侑隆の前にグイッと顔を差し出せば、嫌そうに手で押し返されている。
「……お前、瑠菜にくっついてたちび助か?」
侑隆はようやく奏芽くんのことを思い出したようだ。
「生意気に育ちやがって」
食事の邪魔をされた侑隆は思い切り毒づくと、おかずに箸を伸ばした。