キミノタメノアイノウタ
「若いな。なあ、タツ?」
「奏芽、お前分かりやす過ぎ」
タツさんと侑隆はニヤニヤと意地悪な顔をして、撃沈したまま動かない奏芽くんをからかう。
「お前もそう思うだろう、灯吾」
同意を求められて、渋々頷く。
このふたりにかかれば、奏芽くんの純粋な気持ちも悪ふざけに変わってしまう。
……うな垂れた奏芽くんを哀れに思う。
「灯吾にも分かるのに、何で本人には伝わらないのかね」
(確かに……)
おそらく、俺はこういう類の勘は鈍い。ということは瑠菜は相当鈍い。
「あいつは今、それどころじゃないんですよ。侑隆さん、瑠菜から何か聞いてません?」
「少なくとも奏芽のことが好きっ!!ってセリフは聞いていないな…」
「そうじゃなくて!!」
侑隆のふざけた口調と奏芽くんの真剣な語調がひどく不釣り合いだった。
今までの空気が一変する。奏芽くんは振り絞るように言った。