キミノタメノアイノウタ
「進路についてですよ。あいつ、急に推薦受けるって言い出して……。それまでW大に行きたいって言っていたのにおかしいじゃないですか」
奏芽くんは追いすがるように侑隆に詰め寄った。
瑠菜に幼馴染以上の感情を抱いている奏芽くんは、瑠菜の不可解な行動を心から心配しているのだ。
「侑隆さんならなにか聞いてるんじゃないかって思って……。あいつ、俺にはなんも言わねーし」
「放っておけよ」
侑隆は瑠菜の代わりにタツさんが淹れた茶をのんびりとすすった。
「お前がなに言ったって瑠菜はきかないだろ。つまり、自分のことは自分で決めるってことだ」
その言い方には侑隆の信念がつまっていて、一切の反論を許さなかった。