キミノタメノアイノウタ
「ちょっと!!待ってよ!!」
千吏が考えてることなんて、手に取るように分かっていた。
伊達に10年以上の付き合いがあるわけじゃない。
「うふふ……侑隆さんの友達ならきっとイケメンよね?」
千吏の耳にはきっと私の声なんて届いていない。うっとりと夢見る少女のような目がそれを物語ってる。
(……だから嫌だったのに)
千吏が居眠りの次に好きなのが、かっこいい男なのだ。ただし、田舎者は除く。
「紹介してどうするのよ?」
「もちろん、あわよくばお付き合いする方向で……」
「却下」
すげなく言うと、千吏はブーッと唇を尖らせてあからさまに不満の意を示した。