キミノタメノアイノウタ

10問中4問は正解だった。数学の苦手な千吏にしてみれば上出来だろう。

「うわ、全然だめ」

千吏はノートを見るなりげんなりしていた。

「まあ、こんなもんじゃないの?」

成績なんて後からついてくると教師も口を揃えて言っていたし、本気で取り組み始めたのが最近ならばこの夏でぐっと成績は向上するということもあり得る。

「もっと勉強しないとだめよね」

千吏は少し落ち込んでいた。自分の不甲斐なさを噛みしめているのだろう。

私は元気のなくなっている千吏を励ましたくてつい、禁断の一言を口にしてしまった。

「……わかった!!じゃあ友達としてね?」

「やった!!ありがと!」

千吏はきゃーと子供のように無邪気に叫ぶと、私に抱き付いた。


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