キミノタメノアイノウタ
「そんなに嬉しい?」
「もちろん!!」
千吏はニコニコと満面の笑みで答えた。
「瑠菜は否定するかもしれないけど、もしかしたらひと夏の出逢いが運命の出逢いかもしれないじゃん?」
(……運命の出逢いか)
赤い糸を信じてしまうあたり、千吏らしい。
「つまり、吉田は運命じゃなかったと」
「あはは!!!」
私のごもっともな指摘は、あっさり笑って誤魔化される。
千吏の餌食になったのはこれで何人目だろうか。
アタックしとくだけしといて、こっちに振り向いた途端に冷めるなんて、なんてやつだ。
「私、帰るわ…」
哀れな吉田に思いを馳せつつ、帰り仕度をする。
「ママに車で送ってってもらおうか?」
「大丈夫。自転車で来たから」