キミノタメノアイノウタ

奏芽が悪戦苦闘しているのを横目で見てちょっかいを出していると、ダダダッという音が聞こえてきて、私は机から廊下に目を向けた。

「っあー!!ムカつくっ!!あのヒゲチャビン!!」

バンッと教室の扉を乱暴に開いたのは、さっきまで三者面談に行っていた千吏だった。

仁王立ちで殺気だっている様子に、私と奏芽はあんぐりと口を開ける。

「扉壊すなよ」

辛うじて奏芽がそう言った。

教室の扉は金属のレールから外れて、若干斜めになっていた。

千吏はガタガタッと音をたてて扉を元通り戻すと、こちらにずんずんと歩いてきた。

「聞いてよっ!!もう!!」

バンッと机に手をつく。

机まで破壊されかねない勢いだった。

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