キミノタメノアイノウタ
「ハイハイ。浅倉に何言われたの?」
椅子に座らせて怒りが収まるように宥めてやると、千吏は口早に捲し立てた。
「あのハゲチャビン!!“W大なんてお前には敷居が高いだろうけど、他にも大学はあるからな”だってさ!!舐めやがって!!」
「まあまあ」
「さすが浅倉。的を射てるな」
奏芽がニヤリと隠れて笑うと、千吏がギロリと睨み付けた。
「黙ってろ」
「ハイハイ」
奏芽はヒラヒラと手を振って、再び課題に取り組み始めた。
鬱憤を好きなだけ吐き出した千吏はすっかり大人しくなって、今度は思い出したようにポンッと拳を打った。