キミノタメノアイノウタ

「じゃあ、親に言っておきますね?」

「すまんな、田中」

浅倉は本当に申し訳なさそうに言うものだから、奏芽はすぐ調子に乗った。

「先生。俺には?」

「お前は特別課題を提出してから物を言え」

えこひいきだー!!っと奏芽がぶつくさと文句を言うが、浅倉にひと睨みされると黙った。

いつも通りの光景にホッと胸を撫で下ろす。

(あー。良かった……)

もしかしたら、坂で二人乗りしてたのがばれたのではないかと心配していたのだ。

何事もなく済んで安心したところで、私は改めて浅倉に尋ねた。

「それで先生、面談っていつになるんですか?」

「そうだな…。そちらの都合も考えて、平日は避けて土曜にしようと思ってるんだが…」

(……嘘でしょ)

私の顔からサーッと血の気が引いた。

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