キミノタメノアイノウタ
「あら、良いじゃない」
「良くない!!」
私はそう断言すると、のんびりと茶を啜る母さんを睨みつけた。
「たまにはあの人にも瑠菜のこと考えてもらう良い機会よ」
(……よく言うよ)
自分はパート仲間と温泉旅行に行くくせに。
「父さんが先生に何言うか気が気じゃないよ…」
想像しただけで気が重くなる。
良く言えば、昔気質で曲がったことが大嫌い。
悪く言えば、空気が読めない。自分が法律。
言わなくて良いことばかりポンポン口にして、言われたこちらの気持ちなんてどうでもいいのだ。
「まあ、瑠菜は進路も決まってるし。父さんが口を出すことなんてそんなにないわよ」
「はあ…」
……嫌なものは嫌だ。
私は相変わらずのほほんとしている母さんに言った。